首都大学東京 気候学国際研究センター

首都大学東京

ハルタゴールド

過去120年間におけるアジアモンスーン変動の解明(2014-2018年度 科学研究費補助金 基盤研究(S))

過去120年間におけるアジアモンスーン変動の解明
(2014-2018年度 科学研究費補助金 基盤研究(S))

・研究の背景・目的

地球温暖化をはじめとする気候変動の問題が、近年社会的にも大きく注目されている。しかしながら私たちが住んでいるアジアモンスーン地域では、インドや日本・韓国など一部の国を除くと、1950年以前の紙媒体や画像での大量の日降水量データがデジタルデータになっておらず、極めて不十分なデータしか利用できない状態にある(図1)。
 このため、インドや日本以外の国々では長期間での気候変動の実態すらよくわかっていない。アジアモンスーン地域には、世界の6割以上の人が住んでおり、特に南アジア・東南アジアでは、今なお多くの人が気候変動の影響を受けやすい、稲作を中心とする農業に従事している。増え続ける人口を養うために、農業生産に対する気候変動の影響を抑えることも必要である。将来の気候変動の予測にも、過去の気候変動の実態を正確に把握することが大変に重要である。

図1 世界の月降水量データセットGHCN-Mに使われている1901年の観測地点の分布(Wan et al., 2013)

図1 世界の月降水量データセットGHCN-Mに使われている
1901年の観測地点の分布(Wan et al., 2013)

私たちのこれまでの研究で、1950年以前の旧植民地時代の紙媒体や画像で保存されている気候データを多数見つけてきた。本研究では、未利用データを世界中からさらに探し出して、デジタル化する「データレスキュー」を行う。得られた気候データを解析することで、日本を含むアジアモンスーン地域において、過去120年にわたる長期的な気候変動の実態とその変動原因や地球温暖化の影響などを探っていく。