メインコンテンツにスキップ

エネルギーインテグリティーシステム研究センター

学術的背景

エネルギーのネットワーク化を目指した基盤技術構築

image-1研究センター長 和田 圭二
東京都立大学システムデザイン研究科 教授

2050 年カーボンニュートラルの実現および SDGs 開発目標 7(エネルギーをみんなにそしてグリーンに)を達成するためには,太陽光発電・風力発電等の再生可能エネルギーを活用したエネルギーの有効利用が必要不可欠である。従来の電力エネルギーは,電力会社を中心として一方向に伝送するものであり,既存の化石燃料発電および原子力発電によるエネルギー供給網においては完成されたシステムとして社会インフラとして機能していた。しかしながら,カーボンニュートラルを実現しながら電力エネルギーを有効利用するためには,エネルギー制御と情報通信技術が融合・連携し,エネルギーのネットワーク化により柔軟にかつ効率よく運用することが不可欠である。

将来の電力エネルギーネットワークは,既存の送配電網に加え,電気自動車を含むバッテリーの分散配置,発電電力が変動する太陽光発電が複雑かつ大規模に配置されたシステムとなり,既存の電力供給システムとは大きく様変わりする。これらの電力エネルギーネットワークを安定的に維持・継続させるためには最新のパワーエレクトロニクスと通信ネットワーク技術が融合・連携し、エネルギーの受給を総合的に制御する新しいエネルギーネットワーク概念の創出が必要となる。特に,東京都のような巨大都市においては、安定的な電気エネルギーの確保と省エネ化・高効率化,および高度な情報通信網の構築が社会インフラの一つとして求められている。これと並行して,電力エネルギー利用の利便性向上を目的として,既存の電線を用いたエネルギー供給ではなくワイヤレス電力伝送技術の研究開発が活発化している。その対象としては大きく二つあり電気自動車用給電装置と家庭内モバイル装置用が議論されている。電力エネルギーが,情報と同じように自由自在に双方向で機器間を授受することで利便性向上だけでなく災害時における復旧が迅速に行えるという利点がある。そのため,エネルギーのネットワーク化を実現するためにはワイヤレス化への対応を目的とした議論も必要不可欠である。